NIPTは日本で2013年に導入された出生前診断で、母親から採血を行うだけで高い精度で胎児の染色体異常症を調べることができる検査です。しかし、NIPTを行う際に指針や規制は変化していっており、今後も変化していくことが予測されます。 では、どのように変わっていくのでしょうか?
NIPTを取り巻く現状
NIPTは採血を行うだけで精度が高い検査結果を得ることができてしまうという手軽さを懸念し、安易に受ける人を増やさないため日本に導入される際に多くの規制が定められました。
日本医学会の定めるNIPTを行う認定施設になるための施設の基準は非常に厳しかったこともあり、認定施設の数が少しずつしか増えていかない、なかなか予約が取れない、認定施設がない地域がある、など様々な問題が生じました。
また、認可施設では今は年齢制限はありませんが、以前は35歳以上でなければ検査が受けられなかったり、ほかにも検査を受けるまでに様々な条件があったりと検査へのハードルが非常に高いものでした。
そのため、規制を厳しくしたことによって認可施設ではなく非認可施設でNIPTを受ける人が増加したり、NIPTを受けることができないから羊水検査を受けるという選択をしなければならないという混乱した状態が生じてしまいました。
NIPTの規制緩和
このような現状を受けて2023年度にNIPTの規制が緩和されることが発表されました。
これまではNIPTを行うことができる認可施設に認定されるためには多くの条件があり検査を行うことができる病院が少ないといった現状がありましたが、規制が緩和されたことによって今後はより多くの施設で検査を行うことができるようになります。
基幹施設と連携施設
今後はNIPTを行うことができる病院は基幹施設と連携施設に分けられ、これまで以上に多くの病院で検査を行うことができることが期待されています。
基幹施設に認定されるための条件は概ねこれまでの認可施設の条件と同じですが、連携施設の条件は基幹施設と比べて大きく緩和されており、妊婦健診を受けている産婦人科でNIPTを受けられることができるようになることが期待されます。
NIPTについて正しい情報を知るために
これまで妊婦健診でNIPTをはじめとする出生前診断についてとくに医師から積極的に説明されることはありませんでした。そのためNIPTを受ける人はインターネットなどを使って自分で情報収集をしなければならず、情報格差が生まれたり非認可施設で受ける人が増加しているという現状があります。
そのため今後はチラシやガイド等を作成し市町村の母子保健窓口や子育て世代包括支援センター等で出生前検査に関する情報提供を行っていく方針が発表されています。またNIPTについてこれによって今後全妊婦が平等にNIPTなどの出生前診断についての情報を知ることができるようになると期待されています。